世界の取引網揺るがす神戸製鋼の改ざん – 日本経済新聞

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 神戸製鋼所のデータ改ざん問題が産業界を揺さぶっている。取引先の求める強度などの基準を満たさないアルミや銅製品について、組織ぐるみで品質データを書き換え、出荷していた手法は悪質で、弁明の余地はない。不正の背後に何があるのか、徹底した解明と厳重な再発防止策を求めたい。

 企業のデータ改ざんは三菱自動車の燃費不正など過去にも例があるが、神鋼のケースは製造業の基礎物資ともいえる金属材料を対象にしており、広がりが大きい。

 対応を迫られているのは同社の素材を採用するトヨタ自動車JR東海など国内企業だけではない。問題は海外にも波及し、米ゼネラル・モーターズなども自社製品への影響調査を始めた。単に一企業の信用失墜にとどまらず、世界につながるサプライチェーン全体を混乱させた罪は大きい。

 神鋼については過去にも数々の不祥事を起こしてきた。総会屋への利益供与や工場から排出するばい煙データの改ざん、政治資金規正法違反などを繰り返し、「不正のデパート」と呼びたくなるようなお粗末さだ。

 昨年はグループ会社で今回と同様の品質データの改ざんが明らかになり、再発防止策を作ったばかりだったが、機能しなかった。

 今回は通り一遍の調査や対処策ではすまされない。なぜ不正が続くのか、組織や人事の仕組み、経営幹部の意識や資質、顧客との関係のあり方にまでメスを入れる徹底した検証が欠かせない。

 会計不祥事などで経営危機に陥った東芝は部門ごとの縦割りが強く、本社が各事業部の中身を掌握しきれていなかったことが、混乱に輪をかけた。

 神鋼も鉄鋼、アルミ、電力など各事業部が「たこつぼ化」し、部門間の情報の風通しが悪いという指摘もある。それが相次ぐ不祥事の背景にあるのなら、複数の事業を抱えるコングロマリット型の会社の形を見直し、各事業部を独立させるのも一案かもしれない。

 神鋼のほかにも、日産自動車で無資格者が完成車検査を手がけていたというずさんな実態が明るみに出た。消費者への裏切りであり、経緯の究明が急がれる。

 「あの会社なら安心」という信用こそ経済活動を支える基盤であり、目に見えないインフラのようなものだ。自ら毀損したその信用をもう一度取り戻せるか、日本企業の自浄能力が問われている。





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