年金支給漏れ 制度への信頼がまた揺らいだ – 読売新聞

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日本年金機構 情報流出 コメントはまだありません



 またしても、公的年金の大規模な支給漏れである。制度への信頼を損ねた日本年金機構などの責任は重い。再発防止策を徹底せねばならない。

 厚生労働省は、基礎年金に一定の条件で上乗せする「振替加算」が10万人以上に未払いだった、と公表した。総額で598億円に上る。一度に発覚した支給漏れとしては過去最大だ。年金機構を通じ、11月中に全額を支払うという。

 受け取れるはずの年金が受け取れない。制度の根幹を揺るがしかねない不祥事である。

 振替加算は、厚生年金や共済年金の受給者の配偶者を対象にした制度だ。専業主婦らの年金をかさ上げするために設けられた。

 厚生・共済年金の加入期間が20年以上で、配偶者がいる人は、要件を満たせば扶養手当に当たる加算金を受け取れる。配偶者が65歳になって基礎年金を受給し始めると打ち切られ、代わりに配偶者に振替加算がつく仕組みだ。

 支給漏れは、1991年の振替加算導入時から起きていた。主に共済年金を受給する元公務員の配偶者だ。共済年金を管理する各共済組合と基礎年金を担う年金機構の連携不足で、夫婦の年金情報が共有されなかった事例が多い。

 共済組合が提供するデータの不備や、年金機構の事務処理ミスなど、双方のずさんな情報管理が招いた結果である。

 共済年金は2015年に厚生年金に統合されたが、記録管理などは分断されたままだ。年金機構は、機械的に情報照会できるようシステムを改修するという。

 それだけで十分なのか。運営体制の一本化も含めた抜本的な見直しを検討すべきだろう。

 公的年金の管理を巡っては、旧社会保険庁時代の07年に5000万件もの持ち主不明の年金記録が問題化した。年金機構発足後の15年にも、不正アクセスを受けて大量の個人情報が流出した。

 今回は、現場で振替加算の支給漏れが散見されたため、年金機構が制度導入時に遡って総点検した結果、全体像が判明した。

 現場では数年前から把握されていた問題だ。振替加算を受け取れないまま、既に亡くなった人も4000人に上る。対応が遅きに失したと言わざるを得ない。

 年金制度は相次ぐ改正で複雑化している。今後も支給漏れが生じる可能性はある。現場のミスで片付けず、制度上の要因がないかどうか、検証することが大切だ。国民の信頼回復へ向け、危機感を持って取り組まねばならない。





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