議員の保育園送迎に賛否 「女性活躍」に逆行? – 毎日新聞

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柚木道義衆院議員 1日でタクシー代94万円計上 コメントはまだありません



時間に追われ、大きな荷物を積んで保育園に子どもを送迎する親の負担は大きい=東京都杉並区で2016年6月、中村かさね撮影



 総務政務官で自民党の金子恵美衆院議員(39)が公用車を使って1歳の長男を議員会館内の保育所に送迎していたことを批判する週刊誌報道が議論を呼んでいる。総務省は「ルール上は問題ない」とするが、金子議員が今後、公用車に子どもを乗せないことで決着した。でもこれって、「女性活躍」や子育て支援に逆行していませんか?【中村かさね、小国綾子/統合デジタル取材センター】

批判報道受け、今後は公用車に子ども乗せず

 発端は、6月29日発売の週刊新潮の記事。金子氏が1歳の長男を自宅のある東京・赤坂の赤坂議員宿舎から永田町の議員会館内にある認証保育所に送迎する際、公用車を使っていたことを「私的利用」と批判した。

衆院本会議に臨む自民党の金子恵美氏=2016年4月26日、藤井太郎撮影

 金子氏は同日中にブログで、通常は子どもの送迎は家族で分担していること、保育所の送迎時間前後に公務がある時には自分が送迎を担当して公用車に子どもを乗せていたことを報告。ルール上は問題なかったとしたうえで、「公用車に家族を同乗させてよいのかというご批判に対し、改めて自身の行為を振り返り、真摯(しんし)に受け止めたい」と謝罪した。

 また、高市早苗総務相は翌日の記者会見で「今後はお子さんを公用車に乗せないと聞いている」と明かした。

公用車での保育所送迎は、是か非か

 だが、保育所は子育てをしながら働くために必要不可欠なインフラだ。子どもの送迎を「私的」と言えるのか。職場の経路にある保育所までは徒歩やタクシーで向かい、子どもを預けた後で公用車に乗り換えるのは、どう考えても非効率的。保育所への送迎を日常的に行っている人なら、朝夕の移動時間が惜しいと思う人は少なくないはずだ。

 そもそも省庁の公用車は、大臣、副大臣、政務官をはじめ局長級以上の幹部が公務目的で使える専用の車。人目に触れてはいけない情報や書類を扱うことがあるため、通勤にも使用できる。保育所の入る議員会館には金子氏の事務所があり、金子氏は事務所内で公務を行うこともあるという。いわば事業所内保育所に、通勤手段である公用車で子どもを送迎しているのと同じことだ。

 総務省によると、公務のついでに公用車に我が子を乗せて送迎することの是非について、統一されたルールはない。育児と公務を両立している利用者も、金子氏が初めてという。「ケース・バイ・ケースで判断することになるが、金子政務官の場合は通常のルートを大きく外れているわけではなく、問題ないと認識している」(同省担当者)という見解だ。

「公私混同」「問題ないなら貫いて」金子氏の対応に賛否両論

 週刊誌報道には、賛否両論が寄せられている。

 「働く母」の先輩でもある民進党の蓮舫代表は「公私混同の感覚が絶対的に欠如している」とフェイスブックで非難。東国原英夫前宮崎県知事も「金子氏が、朝、赤坂から永田町をベビーカーを押して一生懸命通勤する姿を見て、道行く人々は心の中で『頑張れ』とエールを送るに違いない。そして、全国の働くママたちの励みになるに違いない」と独自の意見を表明した。

 これに反論するのは、病児保育などに取り組む認定NPO法人「フローレンス」の駒崎弘樹代表理事。「三重の意味で子育てしやすい社会の実現に逆行する」と批判する。

 指摘はこうだ。(1)育児中の政府高官は公用車に子どもを乗せられないという前例を作った(2)育児中の若手政治家が政府の中枢で働きづらくなり、子育て層や若者の声が政策に反映されにくくなる(3)事業所内保育園への送迎にすら公用車を使えないという風潮自体が、育児と仕事の両立に頑張る一般の人々の抑圧になる--。

 実際、子育て世代からも残念がる声が。3人の子どもを保育園に預けて働く名古屋市の女性(38)は「公用車で保育園に行ける国会議員が羨ましい気持ちもあるけれど、仕事との両立のために必要だと貫き通してほしかった」と話す。

 女性は毎朝、マイカーで子どもを保育園に送った後で自宅に戻り、職場に電車で通勤している。仕事で帰宅が遅れれば、最寄りの駅から保育園を経由して自宅まで、自腹でタクシーを使う。「仕事が理由の支出なのに理不尽。金子さんには批判を乗り越え、こんな社会を変えてほしかった」と悔しがる。

 駒崎さんも「なぜ自民党はお得意のフレーズで『まったく問題ない。保育園への送迎は通勤の一環』と守れなかったのか」と問う。

 「国民が金子氏に望むのは、議員会館までベビーカーを押すことより、公用車を使ってでも一分一秒を無駄にせず、子育てしやすい社会実現に向け政策立案に尽力することだ」

野田聖子氏「応援できる世の中であってほしい」

 週刊誌報道から1週間。金子氏を擁護する政治家も出てきた。

 自民党の野田聖子元総務会長(56)は「働き方改革に期待が集まっている中、批判によってその芽を摘むのではなく、金子さんを子育て世代の代表として応援できる世の中であってほしい」と訴える。

 金子氏が利用している保育所は、野田氏が中心となって設置を要望したものだという。「子育て世代の政治参画や、国会近辺で働く人々が育児と両立できる環境が必要だと考え、要望した。今回の報道で萎縮せず、大いに利用し、精いっぱい仕事と育児に励んでもらいたい」

 超党派イクメン議連の共同座長を務める民進党の柚木道義衆院議員は「もちろん議員の特別扱いはダメだが、仕事と育児の両立の困難さを男女問わず議員が体験することは、必ず子育て支援政策に生きる」と指摘した。






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