スタートアップが管理業務で陥りがちな5つのポイントとは?――100社支えてきた会計士に学ぶ、スタートアップの会計戦略 – THE BRIDGE,Inc. / 株式会社THE BRIDGE (プレスリリース) (ブログ)

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スタートアップが管理業務で陥りがちな5つのポイントとは?――100社支えてきた会計士に学ぶ、スタートアップの会計戦略

スタートアップにとって、どれだけプロダクトに集中できる環境を準備できるかが重要だ。だが、実際には人事、労務、経理など様々な管理業務が発生する。管理業務に時間と労力をとられることなく、プロダクトに集中するためにはどうしたらいいのだろうか。

スタートアップの成長を支援する企画「AMERICAN EXPRESS INSIGHT for STARTUPS」の一環として、イベント「スタートアップを成功に導く『会計エコシステム』 100社支えてきた会計士に学ぶ、スタートアップの会計戦略」が開催された。

同イベントに登壇したのは、Kepple会計事務所 代表の神先 孝裕氏。同氏は、スタートアップの経理面のサポートや、資本政策や事業計画の策定、シード期のスタートアップの管理業務のサポートなど、様々な側面からスタートアップを支援してきた。その数は140社を超えるという。

神先氏は会計士として働く傍ら、投資家が投資先のスタートアップと情報共有を行うSaaS型サービス「FUND BOARD」を手がけている。同サービスは、2017年7月にβ版が公開。2018年の正式リリースを目指し、開発を進めている。

イベント内では、神先氏からスタートアップが気をつけておくべき会計や管理体制の話が語られた。スタートアップは会計や管理業務にどう向き合うべきなのだろうか。

スタートアップが管理業務で陥りがちな5つの課題とは?

神先氏は数々のスタートアップの経理をサポートをする中で、様々な課題を間近で見てきた。同氏は多くのスタートアップが陥りがちな課題を5つピックアップし、同じ失敗が繰り返されないようにと、次のように紹介した。

・会社の口座から現金を引き出して使ったが、利用履歴や領収書がない

会社の口座から引き出して使った現金は、取引記録がなければ会社の資産として計上できず、短期貸付金や仮払金扱いになる。多くのスタートアップは資金調達を行い、株主がいる状態だ。

会計上に何に使ったかを説明できない項目があれば、社長の責任となる。その場合、役員報酬の引き上げや決済のタイミングで会社にお金を振り込むなどで、社長が会社に返済しなければいけない。

利用履歴や領収書はしっかりと残るようにしておこう。

・従業員に給料額面の全額を支払った

源泉を引いた金額を支払うのではなく、含めた金額を支払ってしまうケースもあるという。こうしたケースでは、源泉所得税の天引き漏れが発生した場合、源泉徴収する義務があるのは会社側になる。額面通りの給与を支払った従業員が辞めて、もし連絡がつかない場合は会社側が税務署に納付義務を負ってしまうため、注意が必要だ。

・既存株主に連絡をせずに増資を進めてしまった

実質株主総会を開催せずに増資をすると、会社法違反となり、増資が無効になる可能性がある。投資契約違反となり、既存株主から株式買取を請求されるケースもあるという。定期的に株主総会を開き、投資家とコミュニケーションを取るべきだ。

・大学生インターンと契約を結んでいない

スタートアップではインターンを雇うことが多い。そのインターンと契約を結ばずに月額の固定費で働いていもらっている場合は注意が必要だ。なぜなら、大学生インターンがフルタイムスタッフと同程度の時間働いた場合、従業員扱いになる。

最低賃金以下の報酬で働かせたことになると、最低賃金法違反となり、過去の未払い給与を請求される可能性が出てきてしまう。大学生インターンとは適切な契約を結ぶことで、問題が起こらないようにしよう。

・会社設立後に「課税事業者」登録をしなかった

通常、会社設立後2年間は、消費税は免税される。多くの法人は免税を選択する。だが、スタートアップの場合、少し考え方を変えていく必要がある。スタートアップであれば、課税事業者登録したほうがいいかもしれない。

課税事業者登録をすると、消費税法上の赤字分の消費税が還付される。多くのスタートアップは資金調達をして、その資金を使いながらプロダクトの成長にフォーカスする。そのためPL(損益計算書)上は赤字のことが多くなる。設立時に課税選択をしたほうが還付される金額も多くなり、得だという。

会社のフェーズごとに気をつけておきたい管理のポイント

続いて、神先氏はスタートアップを3つのフェーズに分け、フェーズごとの会計戦略を紹介した。

  • 設立直後〜シード期
  • シリーズA〜上場準備前
  • 上場準備を始めた時期

・お金回りは社長が管理するシード期

設立直後からシード期のスタートアップでは、管理業務の専任者を雇うほど資金の余裕がないことが多い。

神先氏が推奨するのは、社長とインターン生で管理業務をさばける体制を構築することだ。社長が振込業務や窓口対応を行い、インターン生に仕事を割り振り、資料受け取りや法務局や税務局に出向くなどの雑務を担当してもらう。

神先「多くの業務はインターン生に切り出すべきです。が、振込作業は社長がやるべきだと考えています。なぜなら、この業務を社長が担当することで取引先にいくら払っているかを把握できるからです。この規模のスタートアップなら発生しても毎月20〜30件なので、そこまで時間もかかりません」

他にも、BSやPLの数値を常に把握できることや、他のメンバーによる横領という危険も回避できる。

・経理担当者やCFO候補を探すシリーズA以降

シリーズAから上場準備期になると業務量も増え、経理担当者を雇う必要が出てくる。

神先「このフェーズは、管理業務が社長とインターン生だけでは対応できない業務量になってくるタイミングです。このフェーズでは、経理経験者を採用するべきでしょう。その際にはフルコミットできて、会社の文化に合う人材を選ぶことが大切です」

神先氏がフルコミットにこだわるのは、週2〜3程度の出勤では依頼したい業務が発生した時に出勤していない可能性が出てくるからだという。また、このフェーズでは専任の経理担当者を探すだけではなく、その先にある株式上場やM&Aを視野に入れて、CFOを探し始めることも求められる。

・CFOが管理のチームビルディングを行う上場準備期

神先「CFOはとても見つけにくいので、早期の段階から探し始めることが大切です。見つかったとしても、現在の業務の引き継ぎの関係で、実際に入社できるタイミングが半年から1年後になってしまうこともあります」

CFOを探す際は、大きく2パターンの人材に分かれるという。

神先「CFO人材は大きく2パターンいます。上場経験のある30〜40代の人材、年下で上場経験はないが今後一緒に取り組んでいきたい人材です。年上の方を探す場合はエージェントを活用し、年下の人の場合は自身のネットワークを使って探すと適切な人が見つかりやすいです」

上場経験とカルチャーフィット、どちらも満たしたCFOを探すのは難しい。どちらかを選ぶならばカルチャーフィットが大事であると、神先氏は語った。CFOの採用と同時に、管理業務を担当するチームの構築も必要になってくる。

神先「CTOがエンジニアを採用するのと同様に、CFOが採用したい人材を採らせること。CFOが一緒に働きたいと人とチームを組成したほうが、メンバーがCFOの意図を汲み、管理業務を進めやすくなります」

タスクを書き出し、ボトルネックを解消することから

起業家が管理体制を見直す際に最初にするべきことに関して、神先氏はこう語る。

神先「管理業務の多くはルーチンワークです。まずは「毎月何をやるべきなのか」を全て書き出しましょう。書き出したら、タスクの量や求められる専門性によって、そのタスクを処理する人を決めます」

だが、経験が少ないときは自分ひとりでは認識できてない管理業務のタスクも存在する恐れがある。そのため、外部に頼ることも大切だ。

神先「全てを自分1人でやろうとするのは避け、税理士などのいつでも相談できる相手を確保しておきましょう」

定期的に発生する管理業務を捌くオペレーションを構築し、改善していくプロセスは、スタートアップにおけるプロダクトの開発体制と近い。神先氏は「開発のプロジェクトマネジメントはできるのだから、管理のプロジェクトマネジメントもできるはず」と語る。

スタートアップも管理業務の見方を変えて、プロジェクトをマネジメントするようなつもりで向き合ってみると、プロダクトに向き合う時間が増すのではないだろうか。

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