確定申告のイロハ 今年は副業、薬、仮想通貨に注目 – 日本経済新聞

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 今年も所得税の確定申告の時期が近づいてきました。申告書を出す期間は原則2月16日から3月15日ですが、「還付申告なら1月1日からもうできるよ」というと驚く人もいます。今回はそんなことも含め、確定申告のイロハや還付申告で税金を取り戻す方法、今年の注意点などを、私(編集長の大口)が税理士の内藤克さんにお聞きしながら紹介します。まず最も基本的な部分ですが、確定申告とは何なのでしょう。年末調整、還付申告、確定申告の3つの関係は?

 収入から経費を引いたものを所得といいますが、サラリーマンやOLなど勤め人の場合は「経費(給与所得控除)を引けば、あなたの今年の所得はこのくらいでしょう」という見込みに基づいて、毎月「概算の」所得税を源泉徴収されています。でも実際には親や一定年齢の子供を扶養していれば扶養控除がありますし、生命保険や地震保険に入っていれば保険料控除なども受けられます。なので毎年、年末にかけて「もっと引けるものを引いて所得税を少し返してくれるよう、税務署に手続きして」ということで会社に書類を出します。これが年末調整。本来個人が行うような作業を会社が代行してくれているわけです。

 ただ、年間で医療費がいくらかかったとか投資でもうかった・損をしたといったことは会社にも分かりません。そこで昨年1年間の引けるものや逆に申告しなければならないものを全部まとめて、「昨年の所得はこの額で確定しました」と申告し、税金の過不足を調整するわけです。これが確定申告ですね。一方、本来確定申告をする必要がない人が「払い過ぎた税金を取り戻す」だけなら年明けの1月1日から可能で、こちらを還付申告といいます。専用の書式があるわけではなく、確定申告と同じ書式を使います。


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 1本目の動画ではこの還付申告を取り上げ、主に勤め人に関係する還付申告にはどんなものがあるか(医療費控除、住宅ローン控除、ふるさと納税の寄付金控除など)、申告の注意点などを紹介しました。また確定申告については「申告する必要がある人」と「申告した方が得になる人」がありますので、ここも解説しています。

 特に近年は会社が副業を認めるようになってきているため、「副業で利益が出たらどうするのか」と思う人もいるでしょう。経費を引いて20万円超の利益が出ていれば申告する必要があり、規模が小さいなど多くの場合は雑所得になります。事業として継続的・本格的に取り組んでいるなら事業所得になり、赤字が出たときには本業の給与所得と損益通算して所得税の還付も受けられます(勤め人でここまで副業を極める人も少ないでしょうが)。注意すべきは「医療費控除などで確定申告する場合は、副業の利益が20万円以下でも申告が必要」(内藤さん)という点。「20万円以下なら常に申告不要」と誤解する人が多いようです。

 また動画には「贈与税の確定申告を忘れないよう注意」という話もあります。還付申告は仮にその年に忘れても5年間遡って申告可能ですが、贈与税の申告は1回(しかもわずか1カ月半)しかできません。特に「贈与税の配偶者控除の特例」(通称:おしどり贈与)などを使い、贈与は受けたけど結果的に贈与税はゼロという場合が問題で、こういう場合には申告が必要なのです(通称:ゼロ申告)。「期限内に申告する」というのがゼロになる条件なので、申告しないと税務署に申告漏れを指摘され、贈与税を取られる恐れがあるそうです。

「確定申告書等作成コーナー」の入り口でe-Taxか書面提出かを選ぶ

 さて、確定申告が初めての人にとっては「具体的にどう手続きするのか」が知りたいところかもしれません。現在の主流はパソコンで国税庁のサイトの「確定申告書等作成コーナー」に行って、「書面提出」を選んで一問一答方式で記入したら、プリンターで印刷して税務署に郵送(持参)する方式です。プリンターは白黒でも構いません。最近はタブレット端末でも入力でき、印刷はコンビニのプリントサービスでできるようになっています。

 ここでは「e-Tax」も選べ、こちらは期間中は24時間受け付けで還付の手続きが書面より早いなど長所もあるのですが、マイナンバーカードとICカードリーダー/ライターという外付け機器が必要です。パソコンに詳しくない人はこの辺のセットアップが難しいと思うので、私は書面添付の方をお勧めします。

「医療費控除の明細書」は記入用のPDFが国税庁のサイトからダウンロードできる

 なお「書類は『正』の方1通だけでなく『控』も印刷して同封。切手を貼った返信用封筒も入れて、税務署の判を押した控えを必ず返送してもらうようにする。それを証拠として保管しておく」(内藤さん)のが重要だそうです。

 また保管といえば、今回の確定申告からは医療費控除の際に領収書の束を提出しなくてもよくなり、「医療費控除の明細書」(左)というリストの添付で済むようになりました。ただ税務署から問い合わせが入ることもあるので、領収書自体は自宅で5年間保管する必要があります。当然ですが「払ってもいない医療費の水増し記入は厳禁。ウソを書けば5年間ドキドキするし、問い合わせは結構来るものだ」(内藤さん)。


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 2本目の動画では、副業以外の「今年ならではの注意点」を解説しました。何といっても注目は仮想通貨の申告で、我々も「仮想通貨で利益、税金はどうなる? 最高税率は55%」で書いたように、雑所得で総合課税になり、税率が高いのが問題です。一律10%の住民税と合わせ15~55%ということは、所得が高いと半分くらいしか手元に残らないわけですね。また「去年はFX(外国為替証拠金取引)で大損した。FXも確か雑所得のはずだから、損益通算で仮想通貨の利益が圧縮できるのでは?」と思う人もいそうですが、これも無理です。FXの利益は「先物取引に係る雑所得」という別の雑所得になり、一律20%の申告分離課税が適用されるからです。

 仮想通貨は本来、決済や送金のために作られたはずなのですが、国税庁のガイドラインでは「買い物をした際も課税対象」となっています。自動車や4Kテレビのような大物を買って申告するのは分かるとしても、ガム1個買っても申告の必要ありというのでは、何だか「仮想通貨は決済に使うな」と言われている気になります。それと「ビットコインは通貨とはいえ日本では納税には使えないので、もうかった人ほど納税資金の準備を忘れずに」という内藤さんの指摘も忘れずに。

 最後に、2017年に始まって今年が初めての申告になる「セルフメディケーション税制」についてもお聞きしました。スイッチOTC医薬品(薬の箱やレシートにマークあり)を年間で1万2000円以上買った場合、1万2000円を超えた額(上限は8万8000円)について所得控除を受けられる仕組みです。医療費が10万円を超えたら申告できる通常の医療費控除とはどちらか一方しか使えないこと、かかった医療費の額により、どちらで申告するのが有利になるかを考えて選ぶこと、などがポイントのようです。また動画にはありませんが、セルフメディケーション税制では「日ごろから健康づくりに気を付けている」ことを証明する必要があります。インフルエンザの予防接種の領収書か会社の定期健康診断の結果通知書などを添付すれば済みますが、忘れがちなので改めて書いておきます。

(マネー研究所編集長 大口克人)

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