NHK受信料「合憲」 公共放送として襟正せ – 中国新聞

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 NHKの受信料制度は「合憲」―。最高裁大法廷はきのうこの制度に初判断を下した。

 受信契約を結ぶことを拒んだ東京都の男性に対し、NHKが受信料支払いを求めた裁判の上告審判決である。国民が公平に財源を負担して支えるという制度の合理性を司法が認めたことになる。NHKの公共性に重きを置いた判断なのだろう。

 「放送が偏っている」との理由で契約を断り、NHKに提訴された男性側は、「契約の強制は契約の自由を侵害し、違憲である」と主張してきた。一方のNHK側は「公共放送の役割を果たすため、費用を公平に分担してもらう制度は合憲」と反論してきた。

 判決を受け、NHKは「主張が認められたと受け止めている」とコメントした。ならばNHKは自らの「公共放送としての役割」を問い直し、襟を正す契機にせねばなるまい。

 訴訟に発展した受信料不払いの背景には、NHKへの不信感があるからだ。職員の番組制作費詐取事件など不祥事が相次いで発覚した2004年以降、支払い拒否が急増した。信頼を裏切ったのだから当然だろう。

 しかしNHKは、公共放送の役割を見つめ直し、姿勢を改める前に徴収強化を優先したのである。任意で契約を求めてきた方針を転換した。06年からは、受信契約を結んだものの支払いが滞っているケースに、09年からは未契約の場合でも法的措置を取り始めた。これまで約4300件が訴訟になっているという。受信料を徴収するために知恵を絞るのは分かるが、不払いの背景を検証して信頼を取り戻す努力が先ではないか。

 不信は金銭絡みの不祥事によるものだけではない。過去には番組への政治介入も指摘された。前会長が「政府が右と言うものを左と言うわけにはいかない」と述べたのも問題視された。NHKと政治は、常に緊張感を保つべき関係のはずだ。

 受信料に支えられる公共放送なのだから、本来は視聴者の支持を背に権力の介入も拒める。「国営放送」ではなく、市民のために権力を監視する役割を肝に銘じてほしい。

 民間放送の定番であるバラエティー番組などが、少なからず放送されているのも気になる。NHKの昨年度の事業収入は7千億円余りで、およそ96%が受信料だという。民放の倍以上に上る潤沢な財源にものをいわせ、放映権に巨費がかかるであろう各種スポーツ中継なども拡大させている。公共性を見失っていないだろうか。

 最高裁は受信料について、テレビの設置時にさかのぼって支払い義務があるとした。視聴の対価ではなく、公共放送を支えるための負担金と考えられているからだろう。多様な意見が交わされる公共空間を支える社会的コストという見方である。

 それならば受信料を支払う視聴者が経営に関与できるよう組織の在り方も見直すべきだ。

 NHK放送文化研究所の15年の調査では、20代の16%は平日にほとんど、あるいは全くテレビを見ないという。ワンセグ機能付き携帯電話が受信設備かどうかを争う訴訟も続く。

 情報へのアクセスも変わりつつある今、公共放送や受信料制度はこのままでいいのか。再検証する時期に来ている。

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