文民統制の本質など – ハフィントンポスト

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 石破 茂 です。 

 柳瀬前総理秘書官の「記憶の限りでは愛媛県職員に会っていない」などとするコメントには、なんとも歯切れの悪さを感じます。総理の仰るとおり、「総理の意向で行政が左右されたことはない」ということに信頼性を持たせるためにも、問題となっている事実に関して曖昧な立場を採るべきではありません。

 愛媛県の職員に柳瀬前秘書官が会ったことが事実でないならば、それを明確に否定すればよいことですし、同氏が記憶を呼び覚まして、会っていたことを思い出したなら「これは総理案件であるなどということは一切言っていない」と自身で言えば、すべて解決するのです。

 急激に変化する朝鮮半島情勢や、今秋の中間選挙を睨んでトランプ米国大統領が仕掛ける「貿易戦争」に対する対応など、総理が出席されるテレビ中継入りの予算委員会で、国民の前で議論しなくてはならない案件は山積しています(外務委員会、安全保障委員会などの一般の委員会は基本的に担当大臣が答弁に立ち、テレビ中継はありません)。

 森友問題にせよ、加計問題にせよ、挙証責任は政府の側にあるのであって、そこから逃れるべきではないでしょう。「時が経てばやがて沈静化する」などと思っていては、政府・自民党に対する国民の信頼感をじわじわと失わせる結果に繋がることを肝に銘じなくてはなりません。

 自衛隊の日報事案は、25万人を擁する膨大な規模、かつ陸・海・空・内局という4つの異なる文化が混在する自衛隊という組織を統制するとはどういうことなのか、という根源的な問題に正面から向き合うことなくして解決は見られません。

 「文民統制の重要性」と安易に唱えられるようですが、これは政軍関係という、どの国も長きにわたって悩み抜いている大問題です。「統制」というからには、統制する「主体」と統制される「客体」が存在するはずです。民主主義国家における「統制する主体」は、あくまで選挙によって国民に直接責任を負いうる政治(国会議員)なのであって、内局の背広組ではありません。事務次官以下の内局官僚、いわゆる背広組もあくまで統制される側の「自衛隊員」なのです。

 防衛庁長官在任中にこの議論を委員会で行ったのですが、朝日新聞に「やはり文官統制は必要だ」と題する社説で批判されて、誤植ではないかと我が目を疑ったことでした。

 「自衛隊は必要最小限度の実力しか保持せず、必要最小限度の行動しかできないのだから『戦力』ではなく、『軍隊』でもない」「国家行政組織法に位置付けられた法執行機関であり、交戦権も行使できない」などという政治的な配慮による憲法との整合を図ってきた結果として、自衛隊の「軍隊」としての本質から目を背け続けてきたのですから(私自身、国会でそのように答弁してきたのも事実です)、文民統制の概念が確立してこなかったのもけだし当然というべきなのでしょう。

 自衛隊は緩み切っている、けしからん、許せない、との批判も多くありますが、同時に政治の自衛隊に対する向き合い方も問われなくてはなりません。この状況を脱するべく、出来る限りの努力を重ねます。

 官僚の不祥事が連日のように報道されています。無謬の人などこの世にはいないのですし、政治家も官僚も聖人君子ではありませんが、政治家であれ、官僚であれ、公職に就いている者にはそれなりのノーブレス・オブリージュが求められるとは思います。

 「自分には権力がある」「自分には更に上の権力者がついているから大丈夫だ」などという思いを持った者が行う政治や行政に、国民が納得と共感を覚えるはずはありません。日本の統治システムがどこか根本的なところで狂い始めているように思われ、自らを戒めなくてはならないと痛感しています。

 週末は、14日土曜日が故・野中広務元自民党幹事長お別れの会(午前11時・ホテルグランヴィア京都)、明和会医療福祉センター渡辺病院創立65周年・社会医療法人認定10周年・増改築竣工記念式典ならびに祝賀会(午後4時・ホテルニューオータニ)。

 15日日曜日から16日午前にかけて沖縄市長選挙応援(沖縄市)という日程です。移動の多い週末です。

 沖縄市長選挙は幹事長在任中、秋の沖縄県知事選挙の前哨戦ということもあって三回沖縄市入りするなど全力で取り組み、勝利を得て桑江現市長の当選となりました。あれからもう4年、早いものです。

 島根県西部で発生した地震、大分県中津市での山崩れで被災された方々、犠牲となられた方にお見舞いとお悔やみを申し上げますとともに、懸命に捜索や復旧に当たっておられる皆様に感謝し、敬意を表します。

 都心では週半ば、春の嵐が吹き荒れました。全国各地で不安定な天候が続いています。

 皆様ご健勝にてお過ごしくださいませ。

(2018年4月13日石破茂ブログより転載)

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