企業統治と「傍流の悲しみ」 神戸製鋼事件を読む 「週刊文春」10月26日号最新レビュー – urbansea – BLOGOS

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「俺はおしゃべりだけではなくニュースも読める」。今週の文春、「宮根誠司『ミヤネ屋』降板 フジ新番組に電撃移籍!」にあるセリフだ。情報番組より報道番組のほうが格上・本流なのだろうか、そんなテレビ界事情が垣間見られる。

 記事によれば、見出しにあるように、来年3月に讀賣テレビ制作の「ミヤネ屋」を降り、春からフジテレビのニュース番組の司会を務めることが内定しているという。

 そんな「ミヤネ屋」を降りるスクープが話題の週刊文春から、おなじく関西の、折れそうな鉄屋・神戸製鋼の記事を紹介したい。

“鉄屋”のトップに立った傍流のひと

 検査データの改ざんで世を騒がす神戸製鋼、アルミ・銅のみならず主力の鉄鋼事業でも不正が明るみに出て、おまけにそれが取締役会に報告されながらも公表せずにいたため、さらに事態を悪くしている。ワイド記事「神戸製鋼 川崎社長『退任後は地元バラ園に就職したい』」は、そんな神戸製鋼の会長兼社長・川崎博也氏の人となりを伝える。


川崎博也社長 ©getty

 川崎社長はもともと、社長レースに乗るような人物ではなかったという。ところが2009年に政治資金をめぐる不祥事で当時の会長・社長がそろって辞任したこともあって、タナボタで出世が早まり、2013年、社長に昇格する。

 また「製鉄会社にいながら“鉄屋”の経験はほとんどない」人物であった。火力発電所の建設で頭角を現した、いわば、傍流のひとである。

 そういえば文春8月31日号にこんな痛烈な企業評が出てくる。 

「傍流から突如抜擢された小人物が会社をめちゃくちゃにするのを数多く目の当たりにしてきました。最近では東芝の田中久雄、古くは日立の古川一夫、JAL西松遙、ソニー中鉢良治、東電清水正孝ら枚挙にいとまがありません」(「『朝日新聞は東芝になる』名物記者が書いた社長糾弾ビラ」)

 これは朝日新聞の労働組合の委員長選挙に立候補した大鹿靖明が配布した所信表明の一節である。この傍流社長の系譜に神戸製鋼の社長も並ぶのであろうか。


©getty

企業ガバナンスと「傍流の悲しみ」 

 神戸製鋼は「大きな部門がいくつも存在する縦割り組織」で、川崎社長はそれに横串を入れようとし、その過程でJIS規格の強度改ざんが発覚する。なるほど「関連性の薄い事業が並ぶ縦割り構造が企業統治の機能不全を招き、不正の温床となってきた」(注)との指摘もある。


©getty

 そういえば前出の大鹿は、最近著した『東芝の悲劇』(幻冬舎)で、西室泰三が東芝の社長時代(96-2000)に採用したカンパニー制が、後の粉飾決算の遠因になったと指摘している。部門ごとの独立性を高めるカンパニー制だが、実際のところは縦割り組織となって、本社の経理や財務などコーポレートスタッフが実情を把握しにくい状況を生み出したのであった。

 それでいえば川崎社長の縦割り是正はガバナンスの強化を目指したものであろうし、その過程で40年来続く不正をあぶり出したまではよかったのだろう。しかし、そこから先がまずかったようだ。記事には「品質保証を徹底するため全社的にアンケートをとったところ今回の一連の不正が明るみに出た。いざ不祥事が起きた時の対応力がなさ過ぎます」と経済記者が指摘する。

 これが傍流の悲しさなのか。危機にあって、まるで企業統治できずにいる。

 その川崎社長、地位に固執する気はないのか、バラの栽培が趣味ということもあって地元のバラ園に「再就職したい」とテレビの取材で語る。そこのバラ園を取材した文春記者に、若手の女性従業員はこう答える。「いいですよ、私の下で一からスタートするんやったら」。さすが関西、“おしゃべり”が上手い。


(注)http://www.sankei.com/west/news/171014/wst1710140059-n1.html

(urbansea)

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