霞が関に忖度病まん延 論説委員 大西 直人 – 西日本新聞

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 許せない、情けない、信じられない-どんなに批判の言葉を重ねても足りないほど、安倍晋三政権下で霞が関の府省庁は総崩れ状態だ。何かの病魔にでも襲われたのか。

 学校法人「森友学園」への国有地格安売却を巡る財務省の決裁文書改ざんが明らかになった。と思ったら、今度は防衛省が「存在しない」としていた陸上自衛隊イラク派遣部隊の日報が実は保存され、しかも11カ月も内部で隠していたことが発覚した。

 厚生労働省で働き方改革に関するデータの不適切処理が判明し「なくなった」とした調査票が見つかったのは、わずか2カ月前の2月だ。

 うんざりするが、昨年もあった。内閣府が「総理のご意向」として文部科学省に学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設への対応を求めたとする文書も、当初は「存在を確認できない」と説明していたが再調査で見つかった。

 防衛省では情報開示請求に「廃棄済み」とした南スーダンPKOの日報もあった。どれも深刻な事態だ。国民の代表である国会への改ざん文書提出や法案根拠のデータ不適切処理は、国民と国会への背信行為である。防衛省の日報隠しは文民統制(シビリアンコントロール)を揺るがす。

 政権や与党の幹部は「悪いのは官僚や自衛隊」と言いたげだが、こうなると個別の官僚だけの責任では済まない。

 公文書の改ざん、隠蔽(いんぺい)、不適切処理の背後には、在任期間が戦後3番目になった首相の「1強政権」に都合のいいことは進め、不都合なことはなかったことにする官僚たちの保身がみえる。その意味で、まん延しているこの病魔を忖度(そんたく)病と名付けたい。

 病原菌をまき散らすのが内閣人事局だ。公務員制度改革の一環で安倍政権が2014年に設置し、府省庁の幹部(審議官級以上)約600人の人事を一元管理する。国益優先の意識改革と縦割り行政の弊害打破が狙いだった。よかれと思ったことが悪い結果を招くことは間々ある。官邸の意向ばかりうかがう官僚の増加や政権による恣意(しい)的人事など当初の懸念が現実となった。

 不祥事が発覚した個別部署の担当者に責任を負わせても、忖度病は根絶できまい。人事局の人事が公正なのか、官邸の不正介入はないか、第三者によるチェックは最低限必要だろう。政と官にいびつな関係をもたらす忖度病が、身近な地方自治体に広がらないことも祈りたい。

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 ▼おおにし・なおと 広島市出身。1982年入社。佐賀総局、東京支社、地域報道部、九州大本紙寄付講座教授などを経て2015年から現職。

=2018/04/07付 西日本新聞朝刊=

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