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年金情報管理システム個人情報流出問題 コメントはまだありません
社説

年金の個人情報管理/国民の信頼また揺らいだ


 年金事業に対する信頼を損なう不祥事が、また起きた。
 日本年金機構から個人データの入力業務を委託された東京の情報処理会社が、契約に反して中国の業者に再委託していた問題である。
 契約が再委託を禁止しているのはむろん、個人情報保護のためだ。監督官庁の厚生労働省は「個人情報流出の事実は確認されなかった」とは言うものの、その恐れがあったルール違反を重大に受け止める必要がある。
 本来、機構が厳密に管理し内部で処理しなければならない個人情報である。その入力業務の委託には、厳格なセキュリティー対策が求められて当然だ。にもかかわらず、そうしたずさんな情報処理会社に、なぜ委託したのか。
 厚労省と年金機構は、委託業者の選定手続きや監督体制を含めて徹底的に検証し、再発防止策を講ずるべきだ。
 再委託が発覚した後の両者の対応も不可解で、国民の不信を増幅させかねない。
 機構は1月初旬に事実を知り、加藤勝信厚労相も直後に報告を受けながら、機構は「他に業者が見つからなかった」とし2月まで契約を継続し業務を追加委託。厚労省は有効な対応策を取らなかった。
 少なくとも発覚時点で委託を中止すべきだったのではないか。機構と厚労省の認識の甘さにあきれるほかはない。猛省を促したい。
 この問題が発覚したのは、2月の年金で約130万人の受給額が、所得税の控除がないまま本来よりも少なかったことが発端。その原因を調べる過程で判明した。
 その受給者らは所得税控除を受けるため、機構に「扶養親族等申告書」を提出した人たちで、問題の情報処理会社は約500万人分の、マイナンバーや所得を含むそのデータ入力を受託していた。
 過少支給された受給者のうち、約6万7千人はこの会社のデータ入力遅れが原因だった。さらに、入力漏れが1万7千人に上るほか、約31万8千人分の情報入力ミスが見つかっており、年金額に影響があった人がさらに増える可能性があるという。
 この会社は、計画よりも大幅に少ない人員で委託業務に当たっていた。再委託もそのためだ。そもそも業務を担う能力を備えていたのかどうかすら疑わしい。機構は業務委託・監督体制を根本から見直さなければならない。
 機構は、旧社会保険庁から衣替えしても不祥事がやまない。2015年にサイバー攻撃を受け約125万件の個人情報が流出。17年には元公務員の妻ら10万人に総額598億円の支給漏れが発覚した。
 その都度、セキュリティー対策のもろさや、システム上の不備が指摘されてきた。
 そうした反省がなぜ生かされないのか。「お役所仕事」から脱却し、どこまで意識改革が進んだのか。改めて組織の総点検が必要だ。

2018年03月24日土曜日

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