15歳のニュース:「貿易戦争」が現実味 米VS中 互いに一歩も引かず … – 毎日新聞

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 米国と中国という世界の2大経済大国が、互(たが)いに高い関税をかけて報復しあう「貿易戦争」が現実味を帯びてきた。発端(ほったん)は、米国の貿易赤字削減(さくげん)を最優先に掲(かか)げて中国などに一方的な制裁関税を決めたトランプ政権だ。世界経済の混乱要因になりかねない事態に、米国内でも不安や反対論が強まっている。

最大25%の関税 輸入制限発動

 米国は中国などから安い鉄鋼やアルミ製品が入ることで国内の産業が弱まり「国家安全保障上の脅(きょう)威(い)になる」として、3月23日から、鉄鋼に25%、アルミ製品に10%の関税を課す輸入制限を発動した。

 例えば米国が外国から100万ドルの鉄鋼を輸入する場合、関税がかかると125万ドルになる。国内産の鉄鋼より輸入品の方が高くなり、国内産が売れる。トランプ大統領が進めている「米国第一主義」的な貿易政策の一環(いっかん)だが、一方的な制裁措置(そち)を禁じた世界貿易機関(WTO)ルールに違反(いはん)する可能性が高い。

 この政策に対抗(たいこう)して、中国商務省は2日「我が国の利益を守るために正当な措置を取る」と談話を発表。米国から輸入する豚肉(ぶたにく)や果物などに高い関税をかけ始めた。

 初めての「報復」に米国政府は即座(そくざ)に反応、米通商代表部(USTR)は翌3日、鉄鋼とは別に、中国による知的財産の侵害などを理由に、通商法301条に基づいて25%の関税引き上げを行う中国製品の原案を公表した。航空宇宙やIT(情報技術)などハイテク分野を中心に約1300品目、総額500億ドル(約5・3兆円)に及(およ)ぶ。

 これを受けて中国政府は4日、米国産の大豆や牛肉、自動車など計106品目に25%の関税をかけると発表した。対象額は、米国にそろえた500億ドル。標的とした大豆や自動車は米国の主要輸出品で、米経済への打撃(だげき)を強く意識している。習近平(しゅうきんぺい)国家主席は「強国」の実現を掲げており、大国の威信(いしん)をかけて一歩もひかない構えを見せた。

 2大経済大国が制裁と報復を繰(く)り返す事態に、米国内でも不安が広がっている。

 USTRが公表した対象品目には家庭用食器洗い機や医薬品など幅(はば)広い製品が盛り込(こ)まれている。多くの業界が関税による価格上昇(じょうしょう)のあおりを受ける。アップルやグーグルなども参加するIT産業協議会は3日、「完全な逆効果になる。米国の消費者が不利益を被(かぶ)る」と批判した。

日本にも輸入制限

 日本も無関係ではいられない。トランプ政権はカナダやEUについては輸入制限の適用を除外しているが、日本には適用される。17日から訪米する予定の安倍晋三(あべしんぞう)首相はトランプ大統領との首脳会談で、改めて輸入制限の除外を要請(ようせい)するとみられるが、トランプ大統領は日本の対米貿易黒字にも不満を示しており、安倍首相にとっては試練の日米会談になりそうだ。


 ■KEY WORDS

 【関税(かんぜい)】

 輸入品に対する税金のこと。関税を引き上げると一時的には高い関税のおかげで有利になる国内メーカーが喜ぶため選挙前の人気取り政策として利用される。しかしその国の物価が上がるため国民は損をする。

 【世界貿易機関(せかいぼうえききかん)(WTO)】

 各国が自由にモノ・サービスなどの貿易ができるようにするためのルールを決め、加盟国の間で貿易交(こう)渉(しょう)を行っている国際機関。1948年に発効したGATT(ガット)(関税貿易一般(いっぱん)協定)に代わり、95年に発足した。本部はスイス・ジュネーブにあり、2017年12月時点で、164カ国・地域が加盟している。

 【米通商代表部(べいつうしょうだいひょうぶ)(USTR)】

 米国大統領府内に設けられた貿易交渉のための機関。1963年に設置された。貿易相手国との交渉(こうしょう)の調整、監督(かんとく)に当たる。トランプ政権が離脱(りだつ)を表明した環(かん)太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉も担当した。


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