個人版の民事再生が増加 自宅を残して債務大幅カット – 日本経済新聞

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 借金が膨らんで返済が難しくなった際に、自己破産ではなく「個人民事再生」を利用する人が増えていると聞きました。背景や特徴、注意点を教えてください。

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 個人民事再生の利用者は2016年、前年比13.3%増の9602件と2年連続で増えた。15年も同10.6%増と2ケタの伸びだ。16年は自己破産も13年ぶりに増加に転じた。志賀剛一弁護士は「超低金利で身の丈以上の住宅ローンを借り入れた結果、生活費などが不足し、銀行のカードローンや消費者金融から借金を重ねるケースが目に付く」と話す。

■カット後の債務を原則3年で返済

 個人民事再生とは企業の民事再生手続きを個人に応用したもの。借金の免除と引き換えにすべての財産を失う自己破産と異なり、自宅を手放さずに住宅ローン以外の債務を大幅に免除してもらえるのが最大の特徴だ。カット後の債務を原則3年で返す。

 自営業者も利用できる小規模個人再生と会社員や公務員などが対象の給与所得者等再生があるが、一般的には小規模個人再生が多い。利用の条件は、まず住宅ローンを除く借金総額が5000万円以下であること。また自営業者や会社員を問わず安定収入の見込みがなければならない。

 返済額の最低限が決まっていて、借金の合計額によって5段階ある。100万円未満は全額、500万超~1500万円以下は5分の1、3000万超~5000万円以下は10分の1などとなっている。

■自己破産したと仮定したら…

 債務者には「自宅を残し、借金も大幅カット」という都合のいい仕組みだが、債権者からすると不公平になる。このため「債務者が自己破産したと仮定した場合の清算額が最低返済額を上回る際は、清算額相当を返済しなければならない」(志賀弁護士)。

 手続きの大まかな流れははこうだ。まず債務者が地方裁判所に申し立て、借金の額と件数を申告する。債権者はその内容を精査し、裁判所が金額を確定。債務者は確定した債権額を基に再生計画案を提出する。小規模個人再生の場合、債権者の半分以上が同意しない計画案は認められない。

 さらに月々の返済予定額を数カ月間積み立てて返済能力を確かめる裁判所のテストをクリアしなければならない。その上で裁判所が計画案を認めれば返済が始まる。手続きを始めてから返済開始まで半年ほどかかるが、この間は債務の返済はいったんストップする。

■官報に載る

 自宅は残せるが住宅ローンの返済は免除されず、住宅ローンと同時に再生計画で決められた金額を返済しなければならないので、厳しい生活を余儀なくされる可能性がある。また自己破産と同様、官報に載るので当面、新規にクレジットカードを発行したり、ローンを組んだりすることは制限される。

 さらに手続きが複雑で、通常は弁護士や司法書士に依頼することになり、その費用がかかることも認識しておく必要がある。

[日本経済新聞朝刊2017年11月11日付]

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