東芝、「真摯な認識欠けた歴代社長」と猛然と批判開始…「暴走と歪んだ … – ニフティニュース

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 東芝は10月20日、内部管理体制の改善報告書を公表した。不正会計について、これまで使ってきた「不適切会計」から「不正会計」へと表現を改めた。反省の意思を明確にするためという。

 東芝が不適切会計という表現を使い続けていることには、疑問の声があがっていた。会社の財務状態を良く見せる会計処理(ドレッシング)を、一般には粉飾決算という。なぜ、東芝の経営陣は粉飾決算と呼ばないのか。やっと「不正会計」という表現に改めているが、過去とスパッと縁を切り、再出発するためにも「粉飾決算」とはっきりと認めるべきではないのか。

 報告書では、過去の経営方針が歪んでいたと指摘する。

「当社で発覚した不正会計等について、西田(厚聰)氏、佐々木(則夫)氏、田中(久雄氏)という財務会計の厳格さに対する真摯な認識が欠けた歴代社長によって目標必達へのプレッシャーが繰り返され、短期的利益を過度に追求する方針だったことが問題として挙げられる」

 なぜ歴代3社長は短期的利益を過度に追求してきたのかについては、このように述べている。

「歴代社長は、同業他社との業績比較や株価動向、及び経営目標の達成などに加え、他の歴代社長に対するライバル意識といった社内外からの評価に対して、強く執着していた可能性がある」

 大企業の社長が「財務会計の厳格さに対する認識が欠けている」のは、東芝に限ったことではない。東芝の特異さは「歴代社長に対するライバル意識に強く執着していた」ことにある。

●東芝を混乱に陥れた派閥抗争

 東芝の混迷には、固有の問題が横たわっている。背後にあるのは、社内の激しい派閥抗争と派閥の領袖たる歴代社長たちの人事抗争だ。

 西田厚聰氏と佐々木則夫氏の確執が火を吹いたのは、2013年の社長交代における場面だった。西田氏は会長に留任し、社長の佐々木氏は新設の副会長に追いやられた。13年2月26日の社長交代の会見は、異様な雰囲気のなかで行われた。

 西田氏は社長の条件として「さまざまな事業部門を経験していることと、グローバルな経験を持っている」ことを挙げ、「ひとつの事業しかやってこなかった人が東芝全体を見られるのか」と発言した。原子力畑一筋で海外経験が少ない佐々木氏を公然と批判したかたちだ。

 これに対し佐々木氏は、「業績を回復し、成長軌道に乗せる役割は果たした。ちゃんと数字を出しており、(赤字経営で引責辞任した西田氏に)文句を言われる筋合いはない」と反論した。会長と社長が、交代会見という公式の場で互いを批判するような言葉を口にするのは異例だ。

 西田氏にさんざんこき下ろされた格好になった佐々木氏は、周囲には「しっかり結果を残してきた」と語り、西田氏の罵詈雑言を無視した。

 現役社長と前社長が不仲なのは、珍しいことではない。現役社長は、前任者の方針を否定することで違いを際立たせようとする。東芝も例外ではないが、その過激さは際立っていた。

 報告書は、取締役会や指名委員会、監査委員会が歴代社長を牽制できなかったと指摘する。

「指名委員会については、社外取締役が過半数を占めていたものの、会長が指名委員に就任しており、かつ、社外取締役に対して十分な情報提供がなされなかったことから、実質的に前任の社長らが後任の社長を指名する状況になっていました」

 西田氏と佐々木氏の抗争についていえば、執行役社長の佐々木氏に後継者の指名権はない。社外取締役2人と会長の西田氏の3人で構成される指名委員会で、社長や役員の人事を決めた。複数の候補者のなかから、田中久雄氏を次期トップに選んだのは、指名委員会だった。田中氏は、西田氏の出身母体であるパソコン事業の資材調達を担当していた人物だ。

 現役社長を追い落とす派閥抗争で、西田氏は指名委員会を自分に有利に働くカードとして使っていた。東芝のガバナンス(企業統治)は形骸化していたといえる。

 東芝を苦境に陥れた米原発事業の巨額損失については、「成長ありきや買収ありきの考え方で進め、リスク管理に課題があった」と指摘した。

 報告書は「事業実態に反した非合理的な経営目標を要求する等の経営トップによる暴走と歪んだ経営方針が無批判に踏襲されていく」企業風土の改善を求めている。

 しかし、企業風土は一朝一夕で変わるものではないだろう。内部管理体制の改善報告書が、絵に描いた餅に終わらないことを期待するしかない。
(文=編集部)

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