相次ぐ不祥事 私が企業を見るポイント(藤野英人) – 日本経済新聞

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「日本企業の不祥事が相次ぐ背景には共通した組織の悪弊がある」

 神戸製鋼所によるアルミ製部材などのデータ改ざんが発覚しました。組織ぐるみで品質データを書き換え、出荷していた手法はかなり悪質です。新たな不正が判明する可能性もあり、深刻な問題といえます。

 ほかにも日産自動車で無資格者が完成車検査を手がけていたことが明るみに出ました。過去にも大企業の不祥事はありましたが、とどまる気配はありません。日本企業の信頼性を揺るがしかねず、投資家にとってもゆゆしき事態です。どうして不祥事は起こり続けるのでしょう?

■企業の不祥事に共通の悪弊

 私は2011年のオリンパスや15年の東芝の不祥事が露見したときから「まだまだ日本では第2、第3の事例が出てくるだろう」と考えていました。日本企業に共通した悪弊があるからです。それは日本企業でも特にサラリーマン経営者が率いる大企業は、経営者の保身から出てきた不条理な命令を「上司に逆らえないから」と社員が受け入れてしまうというものです。

 これはガバナンス(企業統治)やコンプライアンス(法令順守)の観点からはとんでもないことです。一番悪いのは不正を指示した経営者にきまっていますが、それに従った社員もいるわけですね。「社員たちは『真面目』に上司の指示を守っただけなのだからしょうがない」という声もあるでしょう。でも、彼らは本当に真面目だったのでしょうか? 私はビジネスにおける真面目さとは何か、ということを改めて問いたい気持ちになりました。

 真面目というと、一般的に規則に従うとか、遅刻をしないとか、服装がきっちりしているとか、そういうイメージが浮かぶのではないでしょうか。多くの日本人が自分たちのことを真面目だと考えています。ところが、日本人は真面目の意味を履き違えていると思います。

 広辞苑で真面目の本来の意味を調べてみると、「真剣な態度・顔つき。本気。真心がこもっていること。誠実なこと」とあります。真面目の語源は「柳は緑、花は紅、真面目(しんめんもく)」という、中国宋代の詩人、蘇東坡(そとうば)の詩に行きつきます。

 意訳すると「柳には柳の色、花には花の色があり、それぞれが個性や役割を発揮している」ということです。つまり、「物事の本質を見極める」といったような意味であり、いわれたことをいわれた通りにやることや、ルールやスケジュールを守ったり、常識をわきまえたりすることは真面目の本来の意味には含まれないのです。

■真面目とは本来、誠実の意

 真面目とは本来、真剣であり、誠実であること。そして「本質とは何か」をしっかり考えることです。原点に立ち返ると、たとえ会社の常識や上司の命令に反したとしても、誠実に振る舞うことが真の意味で真面目な行為といえるでしょう。

 ところが、組織が巨大になってしまうと、その中で働く人は会社の論理から外れると上司や周辺からバッシングされます。誠実に頑張ろうとしてもそのうち疲れてしまい、そのうち波風立てずにいわれたことを守ろうという意識が強くなっていきます。これだけガバナンスやコンプライアンスが叫ばれていても、古い体質は一朝一夕には変わらないでしょう。いろいろ難しい点はあるでしょうが、まず一般社員が誠実になることが変化の一歩になるのではないかと思います。

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