稲葉篤紀「五輪はWBCと全然違う」侍ジャパンへ、新指揮官の忠告。 – ORICON NEWS

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ヤクルトや日本ハムでの日本一を知る稲葉監督。国際大会では勝負への厳しさを貫く。

11月16日、新指揮官が初陣に挑む。
アジアプロ野球チャンピオンシップ。
国際舞台の経験豊かな“切り札”は、3年後に向けていかなる戦いを目指すか。
Number939号(2017年11月9日発売)掲載の記事を全文掲載します!
オリンピックの思い出を語るとすれば、何度もフラッシュバックするあの光景しか思い浮かばない。
東京大会で復活する前に、野球が正式種目として採用された最後の大会となった2008年の北京五輪。予選リーグを4勝3敗と何とか4位で乗り切った星野仙一監督率いる日本代表は、準決勝でアジア最大のライバル・韓国と激突した。
試合は序盤に日本が2点を先行。しかし韓国も必死に食い下がって7回に同点に追いつく。そして迎えた8回だ。
「イ・スンヨプが決勝ホーマーを打ったんですね。僕はライトを守っていて、その打球が僕の頭の上を通過していった。あの光景をいまでも鮮明に覚えています」
この打球を見送った右翼手が、東京五輪で侍ジャパンを指揮する稲葉篤紀だったのだ。
「何と言うんですかね。こんな舞台であんなホームランが出るのかという……。オリンピックの怖さを知りました」
この回に4点を奪われ決勝に進出できなかった日本は、3位決定戦でも米国に敗れてメダルを逃した。それがいまのところオリンピックの野球で日本が残した、最後の記録である。

野球の1試合ってこんなに疲れるんだ。

「とにかく野球で金メダルを取るのが当たり前のような感じで、そこのプレッシャーが凄かった。特にその前の年に台湾でやったアジア最終予選の3試合は本当にきつかったのを覚えています。僕の中で特にその韓国戦は一番、長く感じました。野球の1試合ってこんなに疲れるんだって。それだけ毎回、毎打席、守備でも集中が途切れたことがなかったですね」
翌’09年の第2回、’13年の第3回ワールド・ベースボール・クラシックでも選手として代表入り。その後も小久保裕紀監督の下でコーチとして今春のWBCまで途切れることなく代表チームを見てきた。
その経験を買われて、東京での金メダルの切り札としての監督就任だった。

「金メダルしか僕は目指していない」

野球にとっては3大会、12年ぶりの五輪復帰となる大会。地元開催ということもあり、メダルへの期待が高まることは百も承知している。
「とにかく金メダルを取る。そこしか僕は目指していません」
稲葉監督は言い切る。
そのために大会までの3年間で、優勝できるチームを作り上げるのが使命となる。
五輪本番は7月末から8月上旬で、シーズン真っ最中のメジャーリーガーの参加はほぼ難しいのが現状だ。国内のトッププロが参加するのは日本と韓国、台湾のアジアのチームだけ。他の地域の代表はアマチュアと地元プロの混成チームで、一昨年に行なわれた国際大会のプレミア12のときの各国代表と似たようなチームになる公算が大きい。
ただその一方、米国はアマチュアのトップ選手とシーズン真っ盛りの3Aの選手の混成チームになる可能性が高く、そうなると金メダルという目標を達成するには、WBCで日本が苦しんだ速くて手元で大きく動く球への対応も不可欠になってくるだろう。
WBCでは例えばDeNAの筒香嘉智外野手や巨人の坂本勇人内野手、西武の秋山翔吾外野手などポイントを後ろにしている打者は比較的、すぐに順応できた。一方で日本ハムの中田翔内野手やヤクルトの山田哲人内野手など、大きく足を上げてタイミングを取るタイプの打者は苦しむ傾向にあった。そうした選手の特性を見て、いかに選抜し、起用していくかも代表監督の目が問われるところになるわけだ。

1人でも多く対応力や順応性を見たい。

「僕は選手として3度、その後は小久保監督の下でコーチもやらせていただいて、国際経験を積ませていただいた。そこで対応能力というのが非常に大事だなと思いました。小久保監督はとにかく選手を信頼して使い続け経験をさせた。そうしてチームを1つにしてきた。これも僕は非常に良かったと思いますし、今回のWBCはチームとしてもすごくいいチームだったと思います。ただ……」
最後まで勝ち切るためには、国内の実績より対応能力の高さが重要になると考える。
「万能系というか、初めてのピッチャーに対してもアジャストできる選手というのはいるんです。だから僕も3年間かけて1人でも多くの選手に代表に入ってもらって、対応力とか、そういう順応性を見てみたいなとは思っています」
その最初の一歩が、「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」だった。

「勝利主義を目指してやっていく」

大会は日本と韓国、台湾の3カ国・地域が参加して行われ、24歳以下、またはプロ入り3年以内の選手にオーバーエイジ枠3人までを加えたチーム編成。侍ジャパンは投手に田口麗斗(巨人)、今永昇太(DeNA)、薮田和樹(広島)、山崎康晃(DeNA)らにオーバーエイジで又吉克樹(中日)を加えた11人。
野手は近藤健介(日本ハム)、源田壮亮(西武)、京田陽太(中日)、オコエ瑠偉(楽天)、上林誠知(ソフトバンク)ら12人にオーバーエイジで甲斐拓也(ソフトバンク)と山川穂高(西武)を加えた14人を登録。稲葉監督にとっては公式戦での初陣を飾る大会となった。
「国際大会というのはとにかく勝つことを目指さないといけない。2020年の東京オリンピックに向けて、というのも当然あります。でもまずは僕の初陣ということで勝ちたい。とにかく勝ちたい。勝利主義ですね。そこを目指してやって行きたい」

韓国と台湾にも勝ち続けることで……。

2015年のプレミア12では準決勝で韓国に手痛い黒星をつけられている。遡れば北京五輪や、過去のWBCでもアジアの最大のライバルとして韓国と台湾は常に日本の前に立ちはだかってきた歴史がある。
「今回は参加が3チームですが、そういうアジアのライバル国には勝ちたいし、勝たなければいけないですね。こういう大会でも韓国に勝つことで、台湾に勝つことで選手には勝ったという自信が生まれる。そういう自信をつけさせることは若い選手の成長にもつながります」
アジアの国だけではない。とにかく数多くの国際試合の舞台に立ち、勝利と経験を積み重ねていくことが、五輪本番での結果に必ず結びつくと考えている。
「オリンピックというのはアマチュアの大会で、WBCなどのプロの国際大会とは全然違うなと感じています。審判もアマチュアの審判ですし、監督コーチも全部で4人しかベンチに入れません。練習時間とかいろんな制約がありますし、荷物も選手が自分で運ばなければならない」

「開会式に出て交流したいですね」

そういう普段とは違う環境の中で、稲葉監督にはもう一つ、別の思いがある。
「僕の今の考えとしては、まず開会式に出たいですね」
北京では野球の代表は選手村に入らずにホテルに宿泊し、選手団とは全くの別行動だった。日程的にも開会式には参加できなかった。そのことに心残りがあった。
「選手のときにも出てみたかったです。テレビで観る開会式では、選手みんなが手を振って、そこで『日本頑張れ!』と、どの競技の誰それという紹介がされる。そこで『ああ野球の選手団ですね』というのもいいんじゃないのかな、と。それと控室で他の競技の選手との交流もできると思うんですね。スケジュール的な問題はあるかもしれませんが、それでも僕はやってみたい」
日本の五輪選手団の一員として、野球の侍ジャパンもいる。それもまたオリンピックという大会の醍醐味である。
(Number939号『稲葉篤紀「オリンピックは、WBCと全然違う」より)

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